きろうの忘備録

飛行機好きの飛行機好きによる自分のための忘備録

気象予報士受験録

はじめに

少し前の話ですが、独学で昨年の第55回気象予報士試験に合格して気象予報士となりました。それ以来たまに勉強方法や使った教材などについて聞かれるのですが、日がたつにつれてだんだん忘れてきてしまったのでここらで勉強に用いた教材等をまとめておこうと思います。

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気象予報士登録通知書

勉強スタイルや勉強時間

勉強スタイル

基本すべての教材をスキャン、PDF化してiPadに入れ隙間時間(通勤時間や仕事の後のカフェ勉など)を演習にあてまくりました。実技試験対策は最初慣れないうちと試験前の本番想定での演習はプリントして行っていましたが、慣れて量を増やす段階になってからはひたすらiPadでやっていました。

勉強時間

一日にどのくらいあてられるかは人それぞれなので「〇年かかった」は意味がないと思います。私自身の場合はアプリで管理してた勉強時間を見直したところ320時間ほどでした。一般に1000時間とか書いているのも目にしますが、根拠もよくわからないため、そこまでビビらなくて大丈夫かと思います。

学習に使用した教材

学科(一般・専門知識)

技術評論社気象予報士かんたん合格テキスト 」

学科対策でよく用いられる教科書です。演習内容も充実しており、学ぶことができます。まずはこの二冊を一読し、演習も一通り解いて、演習教材に早めに移行しましょう。 あくまで基礎知識が身に着けるのが目的の場合は中古でも悪くはないですが、できれば最新版を買うことをお勧めします。というのも関連法規や警報、数値予報技術などは日進月歩であり、変わりゆくものだからです。例えば私は専門知識は2014年発行の初版を使用しましたが、以下の点で現行運用と違う点がありました。

また最新版の場合でも発行年を調べて必ずその年度以降の変更を調べる、出版社のサポートページを参照するなどしましょう。

gihyo.jp

新星出版社「この一冊で決める!!気象予報士過去問徹底攻略」

技術評論社の教科書を一読した後の演習に用いました。分野ごとに分かれており、弱点補強にも使いやすかったです。

実技試験

ナツメ社「気象予報士実技試験合格テキスト&問題集」

基礎から演習までこなせる万能書です。過去問を使用しているため、記述の書き方も信頼できます。よく出る以下の気象現象の演習がついています。

技術評論社「らくらく突破気象予報士簡単合格テキスト実技編」

同じく基礎の学習から演習までこなせる万能所です。こちらは独自問題を使用し、記述の部分点まで分析しており、記述の行い方まで学習できます。以下の分野の演習問題が付属します。

  • 低気圧
  • 不安定現象と北東気流
  • 四国豪雨
  • 梅雨
  • 冬型
  • 台風
  • 寒冷低気圧

学科対策にも実技対策にも有用

気象庁 過去問と解答例

気象庁公式の過去問と解答例です。解説はありませんが、無料でさらに、気象庁が求める記述も手に入るため、実技対策として使わないのはあり得ないです。ただいきなり突っ込んでも意味がないため、 テキストで一通り基礎知識を学んでからのほうがいいでしょう。また学科試験対策としても演習の補強と近年の傾向の把握に有用です。

www.jmbsc.or.jp

めざてん

北上大様が運営されている気象予報士試験の解説サイトです。個人の方の運営ですが、歴も長く信頼のおける解説のおかげで演習量をかなり増やすことができました。動画解説もあり、問題の難易度や傾向の肌感覚も学べたのはとても大きかったです。(この公式解答はちょっと納得しがたい...みたいなボヤキも泥沼にはいらないために役立ちました(笑))

kishoyohoshi.com

東京堂出版気象予報士試験 模範解答と解説」

各年度の気象予報士試験の模範解答と詳細な解説です。演習というよりかは近年の傾向把握のために使いました。最新号の一冊は手に入れたいです。各科目の勉強法や試験の出題傾向のみならず、近年の気象関連のトピック(法改正やスパコンの更新などなど)は絶対に抑えておきたいです。

逆に使わなかった教材

東大出版社「一般気象学」

一般知識の教科書としてちょくちょく取り上げられてきましたが、気象予報士試験対策としては不要な数式が多すぎます。むろん気象予報士試験で使う知識も多いですが、今では解説本が数多あるため試験対策としては読む必要はないでしょう。あくまで「気象学」の本です。 しかしながら、良書であることには違いないため、予報士とは関係なく気象学の入門として手に取ることはお勧めできます。

その他気象庁関連資料(補足)

一読の必要はありませんが、参考、補足資料として有用だった資料をいくつか挙げておきます。

気象庁観測ガイドブック

雨量計、風向風速計、温度計といった観測機器についての解説本です。学科専門知識でたまに問われるためその際の参考資料としておりました。

www.jma.go.jp

数値予報研修テキスト

数値予報についての最新の動向を知ることができるテキストです。少し量が多すぎるため、付属のスライドを流し読みしました。

www.jma.go.jp

災害をもたらした気象事例

予報士の試験とは直接は関係ありませんが、日本に大規模災害をもたらした事例を解説しています。予報士を目指す人ならば目を通しておいて損はないでしょう。

www.data.jma.go.jp

試験所感と気象庁ってすごいねっていう感想

難関試験とされており、事実難しいですが、一番肝心なのは「いかに勉強時間を確保するか」これに尽きると思います。演習さえこなせば特別に難しくはないのですが、特に時間がなく演習が不足している社会人も多く受けるため、合格率の低さにつながっているのではないかと推測します。私自身働きながら取りましたが、やはり演習量を増やすことが目下の課題でした。

また一見理系的な試験に見えますが数式的なことを問われることはほぼなくむしろ文系的な試験だと感じました。特に実技試験については、「この問題についてこのような聞かれ方をした時には、必ずこの要素を入れる。文字数が余れば次にこの要素を足す。足りなければさらに…」みたいな感じで、理解したうえで気象庁が求める回答をしなければならず国語的だなと感じます。ただこれはそもそもの気象予報士制度の「気象庁のデータを適切に利用する」という目的からしても自然なものでしょう。

気象予報士制度は、気象業務法の改正によって平成6年度に導入された制度です。  この制度は、防災情報と密接な関係を持つ気象情報が、不適切に流されることにより、社会に混乱を引き起こすことのないよう、気象庁から提供される数値予報資料等高度な予測データを、適切に利用できる技術者を確保することを目的として、創設されたものです。

引用元: 気象庁 | 気象予報士について (2022/3/12アクセス)

最後に勉強してて感じたのは気象庁ってすごい」ってことです。自然が相手ですから、予測精度を上げようとスパコンの更新やモデルの改良などが計画的に行われており、科学力の投入が活発に行われている印象でした。 一方で日々の我々の行動や交通機関の運航、避難指示など国民生活や産業活動に密接にかかわっています。東日本大震災では津波警報の深刻さがうまく伝わらず、「特別警報」の導入につながりました。

www.jma.go.jp また昨年2021年には避難指示全般の改定も行われています。 www.gov-online.go.jp

しかしながら予報には限度があります。災害が起きた時に予報がすでに出ていた確率を上げるには、予測の確率が低くても出すということになりますが、そうすると空振り率も大きくなり、いわゆるオオカミ少年となります。近年では社会でそれを受容する方向に動いているのではと感じます。例えば大型台風の接近前にはあらかじめ前日に鉄道が運行停止を決めるようになってきました。避難訓練では「100回逃げて100回来なくても、101回目も逃げよう」といったスローガンが掲げられるようになってきました。

自然相手に科学力で立ち向かう一方で、人相手にいかにしたら国民生活に寄与できるか試行錯誤してきたかが垣間見え、ただ頭が下がる思いでした。

X-Plane11でスペースシャトルを飛ばしてみる

はじめに

X-Plane11ではデフォルトでスペースシャトルがインストールされており、実機同様グライダー形式での着陸を行うことができます。しかしながらそのままの状態ではロケットエンジンを点火してリフトオフみたいなことはできないため、機体データ(acfファイル)をPlaneMakerで編集してあげる必要があります。

機体データ

まずX-Plane自体のフォルダを探します。steam版の場合は「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\X-Plane 11」などに入っています。(場所がわからない人は適当に検索をかけてみてください)

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X-Plane11が格納されているフォルダ
その中の「AirCraft」フォルダ内の、LaminarResearch製の機体は「LaminarResearch」フォルダ内、そのほかは「Extra Aircraft」内に入っています。スペースシャトルは「Extra Aircraft」内に入っています。
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Space Shuttleの機体データが入っているフォルダ

その中にある「Orbitor.acf」というファイルがシャトルの機体データそのものとなります。

PlaneMaker

PlaneMakerはX-Planeと同時にインストールされacfファイルを編集してX-Planeで使用する機体を作成、編集することができます。マニュアルは公式ページで見ることができます。

Plane Maker Manual | X-Plane

エンジンの有効化

PlaneMakerの起動

まずはじめにPlaneMakerを起動します。Steamから起動し「PlaneMakerを起動」を選択する、もしくはXPlaneの格納フォルダ内にある「Plane Maker.exe」を実行してください。

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PlaneMakerの起動
次に「ファイル/開く」より、「Extra Aircraft/Space Shuttle/Orbitor.acf」を開きます。
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acfファイルの編集
「標準/重量&バランス」を開きます。
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重量バランスの編集

その中の「fuel load」が搭載可能な燃料を示しており、デフォルトだと0lbに設定されています。なんでも大丈夫ですが参考サイトによると226,000.00lbらしいのでそう設定しておきます。

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fuel loadの編集
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fuel loadの設定
最後に「ファイル/名前を付けて保存」から適当な名前(OrbitorWithEngine.acfとか)を付けて保存します。
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編集ファイルの保存

X-Plane11の起動

X-Plane11を起動すると元のスペースシャトルとは別に「SpaceShuttle」という名前でアイコンが?の機体が現れるのでそれを選択し、適当な空港(例えばエドワーズ空軍基地EDW/KEDWとか)を選択しフライトを開始してみましょう

アイコンの作成

アイコンが?のままでは気持ち悪いのでアイコンを作成してみましょう。フライトが開始されている状態で右上のメニューバーの中から飛行機マークのボタンを押し、「アイコンの作成」ボタンを押すだけです。

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アイコンの作成

アイコンが作成されました。アイコン下のファイルパスからも、オリジナルの「Orbitor.acf」ではなく、編集したファイル(ここではOrbitorWithEngin.acf)が開かれていることがわかります。

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アイコンの完成

燃料搭載と飛行開始

「重量と燃料バランスの調整」より燃料を搭載します。Maxにしても大丈夫そうです。

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燃料搭載

最後にスロットルをふかして飛ばしましょう

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Lift Off !

参考サイト等

www.youtube.com

X-Plane11 関連リンクまとめ

自分向けのメモです。

X-Plane11の購入方法

Steam版、オンライン購入、DVDコンテンツの購入の三通りがあります。

store.steampowered.com

www.x-plane.com

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BA%E3%83%BC-%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF-X%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%B311-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88/dp/B075ZC86RJwww.amazon.co.jp

  • Steam版は複数のPCに同一アカウントでインストール自体はできますが、同時にプレイすることはできません。これはX-Plane11のみならずSteamゲーム全体に言えることです。ちなみにSteamにはリモートプレイというとても便利な機能があり、別のPCで動かしているゲームを遠隔で操作できます。例えば自宅のゲーミングPCでX-Planeを稼働させ、手元のPCやiPad, iPhoneでプレイするといったこともできます。

  • オンライン購入では公式サイトからダウンロードするやり方で、購入後にメールでライセンスキーが送られそれを入力するという形になります。ちなみに、無料デモ版もダウンロードできるので購入に悩んでいる方はまずはデモ版で試してみるのも手です。

  • DVD購入ではAmazon等で購入できます。こちらはやったことないので詳しい状況はわからないです。

ちなみに自宅内で個人利用の範疇を超える場合はプロ用ライセンスが必要です。商用利用はもちろんのこと、例えばアカデミアや教育目的でも必要です。詳しくは下記リンクを参照してください。

www.x-plane.com

アドオンや機体、スキンの追加等

X-PlaneのコミュニティサイトであるXPLANE.ORGで一通り行えます。

forums.x-plane.org

また、一部ですがSteam版はSteam内のストアでも空港などが販売されています。

解説ブログ

X-Planeについての解説は英語資料が基本なため、日本語で解説記事を書いてくださる存在は大変貴重です。大変お世話になったウェブサイトをいくつかご紹介します。

ゆかりさんのX-Plane11入門まとめ

初心者向けに機体やプラグインの導入方法や設定方法から、フライトプランの作成や機器類の操作方法がまとまっているとても素晴らしいサイトです。Youtubeでの解説もあるので一度は必ず見るべきです。 sites.google.com

たぶろぐ

pbookさんが菅理されているブログです。X-PlaneのほかにMSFSなどのほかのシミュレータの詳細な記事をアップされており非常に勉強になります。 X-Plane11 | たぶろぐ

最後に

まだまだ書きかけなので適宜アップデートしていきます。

H28年度 航空大物理

模範解答

H28
問題番号 解答 関連項目
問7(a) 2 等加速度運動
問7(b) 2 エネルギー保存則
問8 5 等加速度運動、エネルギー保存
問9 3 遠心力(円運動)
問10 4 モーメントのつり合い
問11(a) 2 ボイルシャルルの法則
問11(b) 1 気体がする仕事
問12 5 波の式
問13 4 直流回路
問14 2 クーロン力
問15(a) 5 電流が作る磁場、磁場から受ける力
問15(b) 4 電流が作る磁場、磁場から受ける力

問7

f:id:hikirou:20200703205735j:plain (a)運動の対称性より、半分の2s後に速度0となるので


v_0-g\times 2s=0 \\
v_0=2s \times g \\
=19.6m/s

よって(2)

(b) 等加速度運動の式


x=v_0t-\frac{1}{2}gt^2 \\
=19.6m/s-\frac{1}{2}\cdot 9.8m/s^2 \cdot (2s)^2\\
=19.6m

よって(2)

(b)別解

v-t図を書くと次図のようになる。頂点に達するまでに進んだ距離は図の斜線部。よって


19.6m/s\times 2s \times \frac{1}{2}=19.6m

問8

f:id:hikirou:20200703205755j:plain

B点での速さをvとすると、力学的エネルギー保存則より


mgh_1=mgh_2+\frac{1}{2}mv^2\\
v=\sqrt{2g(h_1-h_2)}

B点において、鉛直、水平方向の速度成分はともに

v_h=\frac{\sqrt{2}}{2}v

となる。

水平方向には力が働かないので速度v_hの等速運動を行う。A点と最高点において力学的エネルギー保存則より

mgh_1=\frac{1}{2}mv_h^2+mgh\\
h=\frac{1}{2}(h_1+h_2)

したがって(5)

問9

f:id:hikirou:20200703205800j:plain 小球とともに動く観測者で考える。観測系は加速度系となり、小球にはそれぞれ遠心力が働く。 力のつり合いから、以下の3式が成り立つ。


T_C=m\cdot 3l\omega^2 \\
T_C+m(2l)\omega^2=T_B \\
T_B+ml\omega^2=T_A

以上を整理して、


T_A:T_B:T_C=6:5:3

となる。(3)

問10

f:id:hikirou:20200703205805j:plain

質量が一様な棒なので重量Mgは棒の中央に働く。C点周りのモーメントのつり合いより


F_0\cdot (L-l)=Mg\cdot(l-\frac{L}{2}) \\
\therefore F_0=\frac{2l-L}{2(L-l)}Mg

よって(4)

問11

f:id:hikirou:20200703205810j:plain

(a) 断面積をS=2.0\times 10^-2とする。最初の状態において、ピストンの底面からの距離は


\frac{1.0\times 10^{-2}m^3}{2.0\times 10^{-2}m^2}=0.5m

加熱後のピストンの底面からの距離をxとする。ボイルシャルルの法則より、


\frac{P_0\cdot S\cdot 0.5m}{273K}=\frac{P_0\cdot S \cdot x}{300K} \\
x=0.5\times\frac{300}{273}m\\

よって移動距離は

\Delta x=0.5\times \frac{300}{273}-0.5\\
=0.5\times \frac{27}{273} \\
\simeq 0.5\times \frac{1}{10} \\
=0.05m

(2)

(b) 等圧変化で気体が行った仕事は


W=P\Delta V=PS\Delta x

となるので


W=1.0\times 10^5Pa\times 2.0\times 10^{-2}m^2 \times 5.0\times 10^{-2}m\\
=10^2J

よって(1)

問12

f:id:hikirou:20200703205816j:plain 波の基本公式は


y(x,t)=A\sin{2\pi(ft-\frac{x}{\lambda})}

よって


y(x,t)=-0.02\sin{4\pi(25t-\frac{1}{10}x)}\\
=-0.02\sin{2\pi(50t-\frac{x}{5})}

となり


A=0.02 m\\
f=50 Hz\\
T=\frac{1}{f}=0.02s \\
\lambda=5m \\
v=\lambda f=250m/s

よって(5)

問13

f:id:hikirou:20200703205820j:plain 条件1について、4\Omegaの抵抗を流れる電流は


\frac{R_x}{4}I

70\Omegaの抵抗を流れる電流は


(1+\frac{R_x}{4})I

よってキルヒホッフの法則より


E=70(1+\frac{R_x}{4})I+R_xI

条件2についても同様に2.5\Omegaを流れる電流は

\frac{R_x}{2.5}I

となり、


E=50(1+\frac{R_x}{2.5})I+R_x

したがって


E=70(1+\frac{R_x}{4})I+R_xI=50(1+\frac{R_x}{2.5})I+R_x\\
R_x=8

よって(4)

問14

f:id:hikirou:20200703205826j:plain B点における電場が0となればよい。A,C,Dにおける電荷がB点に発生させる電場の大きさをそれぞれE_A,E_B,E_Dとする。E_C,E_Dの大きさは等しく、y軸成分については打ち消しあう。したがってx軸成分の合成を考えると


E_A=2\times \frac{\sqrt{2}}{2}E_D

また、クーロンの比例定数kとすると電場の大きさはそれぞれ


E_A=\frac{kQ}{(2a)^2} \\
E_D=E_B=\frac{kmQ}{(\sqrt{2}a)^2}

以上より


m=\frac{1}{2\sqrt{2}}\simeq 0.35

よって(2)

問15

f:id:hikirou:20200703205830j:plain (a) 直線電流が作る磁場の公式


H=\frac{I}{2\pi r} \\
B=\mu H

を用いる。Pにおける磁束密度は


B_P=\mu_0 H_P\\
=\mu_0 \times \frac{I}{2\pi (r+a)}

したがって(5)

(b) PQに働く力とORに働く力の向きは逆向きなので


F=I_2 B_O b-I_2 B_P b \\
=I_2 b(\mu_0\frac{I_1}{2\pi r}-\mu_0\frac{I_1}{2\pi(r+a)})\\
=\frac{\mu_0I_1I_2b}{2\pi}(\frac{1}{r}-\frac{1}{r+a})\\
=\frac{\mu_0 I_1I_2ab}{2\pi r(r+a)}

(4)

解説記事一覧

下の記事内にまとめてあります。 はじめに 航空大過去問 - ひきろうの忘備録

H29年度 航空大物理

模範解答

H29
問題番号 解答 関連項目
問7(a) 2 等加速度運動
問7(b) 1 等加速度運動
問8 3 等加速度運動、運動量保存則
問9 1 モーメントのつり合い
問10 4 力の釣り合い、摩擦力
問11(a) 4 波の性質
問11(b) 2 波の性質
問12 2 エネルギー保存則
問13 2 直流回路
問14 4 クーロン力、電位
問15(a) 3 コイル
問15(b) 5 コイル

問7

f:id:hikirou:20200702171050j:plain (a) 等加速度運動の基本的な問題である。15secで108km/hとなったので加速度は


\frac{108km/h}{15s}=\frac{108 \times 10^3m}{15s \times 3600s}=2m/s^2

よって(2)

(b) ブレーキ時の加速度は


\frac{-30m/s}{10s}=-3m/s^2

v-t図(速度と時刻のグラフ)を書くと次図のようになる。 f:id:hikirou:20200702173507j:plain 等加速度運動の式

x=v_0t+\frac{1}{2}at^2

より


\frac{1}{2}\times 2m/s^2 \times (15s)^2+30m/s \times 5s+30m/s \times 10s -\frac{1}{2} \times 3m/s^2 \times (10s)^2 =525m

よって(1)

(b)別解 v-tグラフにおいて囲まれた面積(左図の黄色着色部分)が進んだ距離に対応する。これは等加速度運動に限らずすべての運動で成り立ち、面積部分がいわゆる「速度×時間」を表しているためである。したがって



30m/s \times (15s \times \frac{1}{2} + 5s + 10s \times \frac{1}{2})= 525m

f:id:hikirou:20200702173631j:plain

問8

f:id:hikirou:20200702171100j:plain

矢の初速をv_0、一体化した後の速度をv_1、落下までの時間をtとする。

矢とリンゴの衝突において、運動量保存則より


0.1kg \times v_0 = (0.1+0.2)kg \times v_1

等加速度運動の式より


\frac{1}{2}\times 10m/s^2 t^2= 125cm \\
v_1t= 5m

以上3式を解いて

v_0=30m/s,\ v_1=10m/s,\ t=0.5s

よって(3)

問9

f:id:hikirou:20200702171108j:plain O点まわりに反時計回りに力F_1,F_2,F_3が発生させるモーメントをそれぞれM_1,M_2,M_3とすると、モーメントのつり合いより


M_1+M_2+M_3=0

ここで


M_1=-10N \times \sin{45^\circ} \times 1m \\
=-5\sqrt{2}N\cdot m, \\ \\
M_2 = 15N \times \sin{30^\circ}\times 1m \\
= 7.5N\cdot m

したがって


M_3=-(M_1+M_2)\\
=-(7.5-5\sqrt{2})N\cdot m \\
=-0.428N\cdot m

またO点からの作用点の距離は


\frac{0.428N\cdot m}{5N}=0.086m=8.6cm

したがって(1)

問10

f:id:hikirou:20200702171113j:plain f:id:hikirou:20200702180207j:plain 力のつり合いより


(m+2.0kg)\times g \times 0.25 = 1.5kg \times g\\
\therefore m=4.0kg

よって(4)

問11

f:id:hikirou:20200702171148j:plain

(a) PP'の距離は5mなので

\frac{5m}{0.05s}=100m/s

(4)

(b) 図より波長

\lambda=20m

なので


v=\lambda f=\frac{\lambda}{T}
\therefore
T=\frac{\lambda}{v}=\frac{20m}{100m/s}=0.20s

(2)

問12

f:id:hikirou:20200702171152j:plain

cmやgといった単位に注意すること。(幸い選択肢にはこれに関するひっかけはない)。ばね定数Kをすると100gの重りの重量と力が釣り合っているため


K \times (21-20)cm = 100g \times 9.8m/s^2 \\
K\times 10^{-2}m=0.1kg \times 9.8m/s^2 \\
K=10 kg/s^2 \times 9.8

またばねに蓄えられるエネルギーは

\frac{1}{2}Kx^2

であらわされる。おもりがばねから離れるのは自然長であるため、蓄えられたエネルギーすべてが運動エネルギーに変換される。これは自然長に達するまでは重りと同様に運動するが、自然長に達した際にばねには運動とは逆向きに復元力が働き減速を開始するためである。よって


\frac{1}{2}K\times (5cm)^2 = \frac{1}{2} \times 1g \times v^2 \\
v^2=K \times 5^2\times 10^{-1}m^2/kg

以上2式よりkを代入して


v^2 =(10kg/s^2 \times 9.8 )\times 5^2 \times 10^{-1}m^2/kg \\
v=5\times \sqrt{9.8}m/s \\
\simeq 5 \times \sqrt{10}m/s \\
\simeq 5\times 2.2 \times 1.4 m/s \\
=15.4m/s

(2)

問13

f:id:hikirou:20200702171134j:plain f:id:hikirou:20200702183927j:plain Sが開いているときにab間に流れる電流は


\frac{24V}{(2+6)\Omega}=3A

よって、6\Omegaと2\Omegaに働く電圧はそれぞれ6\times 3=18V, 2 \times 3 = 6V。よって起電力Eは


24+18+6=48V

つぎにSが閉じている状態について考える。下図において青線部で囲んだところを一つの抵抗に置き換えると12\Omegaに相当するため、青線部を流れる電流は\frac{48}{12}=4A f:id:hikirou:20200702184524j:plain したがってab間を流れる電流はその半分の2Aとなる。 f:id:hikirou:20200702184934j:plain

したがってab間の電圧は


2A \times 8\Omega = 16V

(2)

問14

f:id:hikirou:20200702171140j:plain 電位とは1Cの電荷保有する位置エネルギー[J]である。したがって、V=J/Cであるということは押さえておかなければならない。静電気力は、行う仕事が経路によらずはじめと終わりの位置のみで決定することができる「保存力」に分類される。保存力のした仕事は位置エネルギーの差分に等しくなるよう、位置エネルギーが定義される。したがってBからAに運ぶときに静電気が行う仕事は


(33-12)V \times 2.0\times 10^{-6}C = 4.2\times 10^{-5}J

よって(4)

電場と電位と仕事

この問題をもう少し詳しく考察してみよう。まずは直接仕事を求めるやり方からだ。電場Eは E(x)=-\frac{dV}{dx}であらわされるので、E-xグラフは下図のようになる。 f:id:hikirou:20200702191137j:plain 電気量Q=2.0\times 10^{-6}C にたいし、働く静電力はQEであらわされるので点Bから点Aまで運ぶときに静電気力が行った仕事は


\int_B^A QE(x) dx = Q \{\int_{1.8}^{1.2}\ 0\ dx + \int_{1.2}^{0.9} -30 dx + \int_{0.9}^{0.6} \ 0\ dx+ \int_{0.6}^{0.3} -40 \ dx\}\\
=Q\{[-30x]_{1.2}^{0.9}+[-40x]_{0.6}^{0.3}\} \\
=2.0\times 10^{-6}C \times 21V \\
=4.2\times 10^{-5}J

問15

f:id:hikirou:20200702171144j:plain (a) 十分時間が経過したとき、コイルの誘導起電力は0。よって4\Omegaの抵抗とコイルを流れる電流の大きさは

\frac{28}{4}=7A

コイルの静電気力による位置エネルギー

 \frac{1}{2}LI^2

で表されるので


\frac{1}{2}2.0H\times (7A)^2=49J

よって(3)

(b)

スイッチを開いた直後のコイルは、その時に流れていた電流を維持するように働く。すなわち回路には7Aの電流が流れている。キルヒホッフの法則より


7A\times (4+7)\Omega = 77V

よって(5)

解説記事一覧

下の記事内にまとめてあります。

はじめに 航空大過去問 - ひきろうの忘備録

H30年度 航空大物理

模範解答

H30
問題番号 解答 関連項目
問7(a) 3 等加速度運動
問7(b) 5 等加速度運動
問8 5 等加速度運動
問9 4 エネルギー
問10 2 円運動、力の釣り合い、慣性力、摩擦力
問11(a) 2 運動量保存則
問11(b) 3 運動量保存則
問12 1 ドップラー効果
問13 3 直流回路、キルヒホッフの法則
問14 4 クーロン力、力の釣り合い
問15(a) 2 直流電流の作る磁場
問15(b) 5 電流が磁場から受ける力

問7

f:id:hikirou:20200702170053j:plain
問7

(a) 加速度を求めて運動方程式より働く力を求める。右向き方向を正として考える。加速度をaとすると


20m/s+a\cdot 10s=-10m/s \\
\therefore a=-3m/s^2

運動方程式より


F=ma\\
=10kg\cdot -3m/s^2 \\
=-30N

よって(3)

(b)等加速度運動の式  v^2-v_0^2=2ax を用いる。


0^2-(20m/s)^2=2 \cdot (-3m/s^2)\cdot x \\
\therefore x=66.6m

よって(5)

問8

f:id:hikirou:20200702170111j:plain
問8
図のようにx,y軸をとる。等加速度運動の式より時間tに対し、x,y座標は


x=v_0\cdot \cos 45^\circ t \\
y=h+v_0 t \sin 45^\circ t -\frac{1}{2}gt^2

題意を満たすには座標(x,y)=(2h,0)を通過すればよい。これを上式に代入して


2h=v_0\cdot \frac{\sqrt{2}}{2}t\\
0 = h + \frac{\sqrt{2}}{2}v_0t - \frac{1}{2}gt^2

以上よりtを消去して


v_0=2\sqrt{\frac{gh}{3}}

(5)

問9

f:id:hikirou:20200702170130j:plain位置エネルギー=上昇にもちいられた熱エネルギー」の方程式を用いる。質量をm \ kgとする。単位に注意。上昇温度を\Delta tとする。


100m\times 9.8m/s^2 \times m\ kg = \Delta t \times 4.2J/(g \cdot K) \cdot m \times 10^3g\\
\Delta T = 0.23K

よって(4)

次元計算

物理の計算では単位も含めて計算すべきである。それによって答えの単位が適当か確認できる。その際にkには[tex:103]をそのまま代入すればよい。kやmなどは国際単位系における接頭語と呼ばれるものである。主要なものとしては

  • G:ギガ [tex:109]
  • M:メガ [tex:106]
  • k:キロ 10/^3
  • h:ヘクト[tex:102]
  • c:センチ10^-2
  • m:ミリ 10^-3
  • \mu:マイクロ10^-6

問10

f:id:hikirou:20200702170153j:plain 回転する円盤上の観測者で考える。ナットには外側に遠心力、内側にはそれに対抗して摩擦力が働く。摩擦力は回転速度の上昇に応じて、大きくなっていき、最大静止摩擦力に達した時に、ナットは滑り始める。角速度\omega、半径r、質量m、最大静止摩擦係数を\muとすると力の釣り合いは


mr \omega ^2 = \mu mg \\
\omega =\sqrt{\frac{\mu g}{r}}

ここで角速度\omegaと1秒あたりの回転速度(rps:revolution per second)との関係について考える。一回転あたり、角度は2\pi \mathrm{rad}進むので


1 \omega rad = rps \times 2\pi \\
\therefore rps = \frac{1}{2\pi } \sqrt {\frac{\mu g}{r}} \\
=\frac{5}{\pi}\\
=0.79

よって(2)

問11

f:id:hikirou:20200702170205j:plain 運動量保存則を用いる。

(a) x方向での運動量保存則


3.0kg \times 5.0m/s = (1.0+3.0)kg \times v_x \\
v_x = 3.75 m/s

(2)

(b) y方向の運動量保存則


1.0kg \times 5.0m/s = (1.0 + 3.0) kg \times v_y \\
v_y = 0.7m/s

(3)

問12

f:id:hikirou:20200702170219j:plain ドップラー効果の式に代入して


f_{max}=\frac{V}{V-v}f \\
f_{min}=\frac{V}{V+v}f \\
\therefore v=\frac{f_{max}-f_{min}}{f_{max}+f_{min}}V

(1)

問13

f:id:hikirou:20200702170228j:plain 10\Omegaの抵抗を流れる電流をIとするとキルヒホッフの第一法則より2.0[\Omega]の抵抗を流れる電流は0.6A-Iとなる。キルヒホッフの第二法則より


1.5V-10\Omega I -0.60A \times R_x = 0 \\
4.5V - (0.6A - I)\times 2.0\Omega -0.60 A R_x =0

2式よりIを消去して

R_x=5\Omega

(3)

問14

f:id:hikirou:20200702170239j:plain クーロン力をF、糸の張力をTとする。物体に働く力の釣り合いより <div
F=T \cos 45^\circ \
mg = T \sin 45^\circ

2式より


F=mg \\
\frac{9.0\times 10^9 N\cdot m^2/C^2 \cdot Q\cdot 3.3\times 10^{-6} C}{(0.3m)^2}=1.5 \times 10^{-3}kg \times 9.8m/s^2 \\
Q=4.5 \times 10^{-8}C

(4)

問15

f:id:hikirou:20200702170253j:plain (a)

磁場については重ね合わせの原理が成立し、導線PとQによる磁場は、Pによる磁場とQによる磁場の和となる。直線電流の磁場の式


H=\frac{I}{2\pi r}

より、P,QがRに及ぼす磁場は


H=\frac{2.0}{2 \pi \times 0.2m}-\frac{6.0}{2 \pi \times 0.3m} \\
=1.6A/m

(2)

(b) 直流電流が磁場から受ける力の公式F=IBLを用いる。


F=2.0A\times 1.0m\times 4\pi \times 10^{-7}N/A^2 \times (\frac{6.0A}{2 \pi \times 0.1m}+\frac{3.0A}{2\pi \times 0.2-m}) \\
=2.8 \times 10^{-5}

(5)

解説記事一覧

下の記事内にまとめてあります。

はじめに 航空大過去問 - ひきろうの忘備録

H31年度 航空大物理

模範解答

H31
問題番号 解答 関連項目
問7(a) 1 音波
問7(b) 1 波の性質、音波
問8 3 剛体のつり合い
問9 1 力のつり合い、抵抗を受ける運動
問10 5 円運動、力のつり合い
問11 2 摩擦力、慣性力、等加速度運動
問12 2 等加速度運動
問13 4 直流回路、ホイートストンブリッジ回路
問14 5 コンデンサ
問15(a) 5 電流の作る磁場
問15(b) 3 相互誘導、ファラデー電磁誘導の法則

問7

f:id:hikirou:20200526164207j:plain (a)問題文の通り丸暗記。

(b) 振動数f=20kHz。音速Vは式に代入して


331.5+15℃\times 0.6=340.5m/s

したがって、波長は


\lambda=\frac{V}{f}=\frac{340.5m/s}{20kHz}=17.0\times 10^{-3}m=1.7cm

音速

音速a流体力学を用いて


a=\sqrt{(\frac{dp}{d\rho}_s}

となる。sの下添え字は等エントロピー変化(高校物理でいう断熱過程。)でありポアソン式が成立するので


a=\sqrt{\gamma \frac{p}{\rho}}=\sqrt{\gamma RT}

となる。

  • 比熱比\gamma: 空気の場合1.40(高温で1.33など厳密には温度に依存)
  • 気体定数R:高校物理出てて来る(普遍)気体定数8.3J/(kg\cdot K)とは異なるので注意。普遍気体定数を分子量mで除したものとなるので、気体の種類に依存する。空気の場合287J/(kg\cdot K).

問題文中の近似式は、絶対温度Tをセ氏温度tに置き換え、(T=t+273を代入)t=0℃の周りで一次の近似、すなわち接線をひいたものである。

したがって、音速は温度の平方根に比例する形となる。

問8

f:id:hikirou:20200526164229j:plain 一様な物体のため、重量は面積に比例することがわかる。よって、(切り取られて残った側の重量):(切り取られた側の重量)=S-S_2 : S_2とわかる。重心周りのモーメントのつり合いより


(S-S_2)\times x = S\times d \\
x=\frac{S_2}{S-S_2}d

f:id:hikirou:20200526171217j:plain
重心周りのモーメントのつり合い

問9

f:id:hikirou:20200526164248j:plain 油滴に働く空気抵抗の大きさをfとすると力のつり合いより


mg=f

文中より


f=krv

また、質量について


m=\frac{4}{3}\pi r^3 \rho

以上3式より


v=\frac{4\pi r^3 g}{3k}\rho

f:id:hikirou:20200526171253j:plain
油滴に働く力

問10

f:id:hikirou:20200526164313j:plain 糸の張力をTとする。鉛直方向の運動方程式(力のつり合い)。※力のつり合い時は加速度0である。したがって力の釣り合の式は加速度0の場合の運動方程式と同値である。


m\cdot 0=T cos\theta -mg

また、水平方向について円運動の運動方程式


m\frac{V^2}{R}=Tsin\theta

以上2式よりTを消去して

f:id:hikirou:20200526171314j:plain
球に働く力


R=\frac{V^2}{gtan\theta}

問11

f:id:hikirou:20200526164332j:plain (a) 平板と物体の間に働く摩擦力をf,垂直抗力をN_2、平板と床の間に働く垂直抗力をN_1とする。平板と床の間には摩擦力が働かない。 平板について水平方向の運動方程式


Ma=F-f

ここで物体について鉛直方向の力のつり合い

mg=N_2

摩擦力について

f=\mu 'N_2

より

Ma=F-\mu 'mg

f:id:hikirou:20200526171355j:plain
各物体に働く力
(b)

距離を求める方法

平板の加速度について

a=\frac{F-\mu ' mg}{M}

物体の加速度をbとすると運動方程式

mb=f \\ \therefore b=\mu'g

よって時間t経過したときの平板と物体が進む距離はそれぞれ


x_a=\frac{1}{2}at^2 \\
x_b=\frac{1}{2}bt^2

その差がlとなるので


x_a-x_b=l=\frac{1}{2}(a-b)t^2 \\
t=\sqrt{\frac{2Ml}{F-(M+m)\mu'g}}

慣性力を用いる方法

平板上の観測者で考える。平板は右側に加速度aで運動するため、小物体は左向きに慣性力maを生じる。左向きを正として、小物体の加速度をb'として運動方程式を立てると


mb'=ma-f \\
b'=a-\mu'g

小物体は平板から見て左向きにlだけ進むので


\frac{1}{2}bt^2=l \\
t=\sqrt{\frac{2l}{b}}\\
=\sqrt{\frac{2Ml}{F-\mu'(M+m)g}}

f:id:hikirou:20200526171507j:plain
平板上の観測者における、小物体に働く力

問12

f:id:hikirou:20200526164356j:plain

等加速度運動の式


v^2-v_0^2=2ax

に代入するだけ。


a=-0.50m/s

問13

f:id:hikirou:20200526164425j:plain まず下図のように、10Ωと20Ωの直列抵抗をまとめて30Ωの一つの抵抗に、可変抵抗Rと60Ωの並列抵抗をまとめて、R'の一つの抵抗とする。

f:id:hikirou:20200526171557j:plain
回路図の簡素化

検流計に流れる電流は0となるため、R'、40Ωの抵抗を流れる電流は共通のI_1、30Ωと50Ωの抵抗を流れる電流は共通のI_2となる。

抵抗R'と30Ωの抵抗の電圧(赤線と青線)は等しいので

R'I_1=30I_2

同様に

40I_1=50I_2

また回路全体についてキルヒホッフの法則より

16V-30\Omega I_2-50\Omega I_2=0

以上より


I_1=0.25A \\
I_2=0.20A\\
R'=30\Omega \times \frac{I_2}{I_1}\\
=24\Omega

よって、R'について並列抵抗の合成式


\frac{1}{60}+\frac{1}{R}=\frac{1}{R'}\\
R=40\Omega

f:id:hikirou:20200526171731j:plain
回路図
f:id:hikirou:20200526172435j:plain
並列抵抗の合成

問14

f:id:hikirou:20200526164450j:plain C1,C2に蓄えられた電荷のうち、Bの政局側に近いほうを正としてそれぞれq_1,q_2とする。

f:id:hikirou:20200526172458j:plain
スイッチをN側につけたときの回路の様子

本来ならば十分に充電され、コンデンサーの負極側の電位が、図でいう黒色の電位に低下するまで低下するが、途中で充電を切っているためそこまで下がりきらず、少し高い状態となっている。(青色で表現)。(このように、回路の問題において、等電位のところを同じ色の線で結ぶことは理解の助けとなる。例えば、素子(抵抗やコイル、コンデンサーなど)の両端が等電位の時は電流が流れない、逆もまた然り)。

このとき問題分より


q_1+q_2=35\mu C

次にスイッチをM側に切り替えた時を考える。この時、C1,C2に蓄えられた電荷を、図の向きを正としてそれぞれq_1',q_2'とする。(コンデンサーの問題ではどちらを正にとっても良いが、必ず定義しておかなければならない。+側の極版が電位が高いことになるからである。また極版の両サイドは必ず同じ大きさで正負が逆の電荷が蓄えられている。)

f:id:hikirou:20200526172944j:plain
スイッチをM側に切り替えたときの回路の様子

この時図を見ると赤線で囲った部分がスイッチの開閉前後で孤立していることがわかる。ここでは必ず電気量(すなわち電子の数)は合計で一定でなければならない。(電気量保存則)


q_1'+q_2'=+q_1+q_2=35\mu C

また、この回路についてキルヒホッフの法則を適用すると


28V+\frac{q_1'}{C_1}-\frac{q_2'}{C_2}=0
\\
q_2'=68\mu C

したがって、C2の両端の電圧は


V=\frac{q_2'}{C_2}=\frac{68\mu C}{4\mu F}=17V

問15

f:id:hikirou:20200526164504j:plain

(a)

まずコイル1が作る磁場を考える。コイルが作る磁場なので、円形電流が作る磁場の公式


H=N\frac{I}{2r}

を使いたくなるかもしれないがここでは不適当である。なぜならばこれはコイルが十分まとめられて今回のように長さLになるようなことがない場合に適用可能だからである。

したがって、ソレノイドコイルの公式

H=nI

を用いる必要がある。巻き密度n=\frac{N_1}{I}なので、磁束密度

B=\mu_0H \frac{N_1 I}{L}

よって磁束は


\Phi=BS

ここで面積Sを求める。コイル2の断面積は\pi a^2であるが、角度が\thetaだけ傾いている。したがって

S=\pi a^2 cos\theta

したがって、


\Phi=\frac{\mu_0N_1I}{L}\pi a^2cos\theta

(b)

まず相互インダクタンスの定義について考える。コイル1に流れる電流Iの時間変化量\frac{\Delta I}{\Delta t}に対し、コイル2に発生する誘導起電力がVの時、相互インダクタンスをMとすると


V=-M\frac{\Delta I}{\Delta t}

となる。したがってこのような形に変形すればいいだけである。

コイル2に発生する誘導起電力は、ファラデー電磁誘導の法則より


V=\frac{\Delta \Phi}{\Delta t} \times N_2
\\
=\frac{\mu_0N_1N_2\pi a^2cos\theta}{L}\frac{\Delta I}{\Delta t}

したがって、式を見比べて


M=\frac{\mu_0N_1N_2\pi a^2cos\theta}{L}

となる。

※電磁気の分野でよく出てくる-の符号は初学者はあまり気にする必要はない。本来は起電力の向きはきちんと決まり事があるため、負の符号をつける必要がある。しかしながら高校物理の範囲内では「逆起電力が発生するというのをわかりやすくするためにつける」といったお茶の濁され方がよくつかわれる。

解説記事一覧

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はじめに 航空大過去問 - ひきろうの忘備録